065 大阪府 磐船神社の天の磐船

【Introduction of Iwakura 65】


□分類:磐座(狭義の磐座)

□信仰状況:神社に祭祀されている

□岩石の形状:巨岩単体 

□備考:天磐船の下部に巨岩が積み重なった岩窟、周辺に岩石群


□住所: 大阪府交野市私市

□緯度経度:34°44'52.11"N 135°41'35.85"E

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交野(かたの)市を流れる天野川の上流に磐船神社が鎮座しています。

空に向って突き立つ船の舳先のような12メートルの巨岩が「天の磐船」です。

『河内名所図会』や貝原益軒の『南遊紀行』にも登場するように古くから知られた磐塊で、現在は、「天の磐船」の下にある岩の洞窟を潜り抜ける岩窟めぐりで人気のスポットとなっています。

「天の磐船」には建物が付けられて、磐船神社の御神体の姿となっていますが、昭和以前は、岩窟めぐりの行場が祭祀の中心であったとの記録があります。

 磐船神社の御祭神は、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊です。

『日本書紀』には、「饒速日尊、天磐船に乗りて、太虚を翔行きて。是の郷を睨りて降りたまふに及至りて、故、因りて目けて「虚空見つ日本の国」とい曰ふ。」と書かれ、『先代旧事本紀』には、さらに詳しく次のように記載されています。「天祖天璽瑞寶十種を以て饒速日尊に授けたまふ。則ち此の尊天神の御祖の詔を禀て天磐船に乗て、天降りまして河内國の河上哮峯に坐す。則ち遷て大倭國鳥見白庭山に坐す、天降之儀は、天神紀に明なリ。所謂天磐船に乗て大虚空を翔行して是郷を睨て天降たまひて、「虚空見日本國」と謂は是なる歟。」

饒速日命は、神武天皇が東征する以前に河内に降臨し、長髄彦の妹を娶って大倭を支配していた神です。彦火火出見命(後の神武天皇)が九州から難波に上陸して西から大倭を攻めたときに長髄彦に敗退し、彦火火出見命の兄である五瀬命が亡くなります。彦火火出見命は、熊野を回って南から再度、倭国を攻めて長髄彦に勝利し、橿原で天皇に即位します。この時、饒速日命側と彦火火出見命側は、神宝を確認し合ってお互い天孫であることを確認しました。

神武天皇は、饒速日命から大倭を奪ったのですが、『日本書紀』では、簒奪ではないと説明しており、これは出雲の国譲りと同じ構図となっています。

饒速日命と三炊屋媛の間に生まれた可美真手命は、物部氏の祖神です。そして、この磐船神社のある交野は、肩野物部氏の支配地であり、生駒山の西側にある八尾は、物部と蘇我が戦った丁未の乱で物部守屋の本拠地でした。したがって、この磐船神社を流れる天野川の上流にある生駒山の北側が、饒速日命が天磐船でたどり着いた河上哮峯であり、「虚空見つ日本の国」と言った場所と考えられます。 

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