054 兵庫県 沼島の上立神岩

【Introduction of Iwakura 54】


□分類:石神(広義のイワクラ)

□信仰状況:祭祀されていないが過去に信仰の形跡あり

□岩石の形状:巨岩単体、メンヒル(立石)

□備考:ランドマーク、対となる下立神岩が存在、奇岩として観光に利用


□住所: 兵庫県南あわじ市沼島

□緯度経度:34°09'44.68"N 134°49'42.24"E

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紀伊水道を通って淡路島に近づくと、30メートルもの高さがある巨岩が天を指して聳えています。この上立神岩(かみたてがみいわ)は、非常に目立つ存在でありランドマークの役割を果たしていたと思います。

沼島(ぬしま)は、淡路島の南に浮かぶ幅2キロメートル程の小島ですが、沼島産の岩石が奈良の古墳に使われたり、万葉集に詠まれたりするなど名の知れた島でした。

国生み神話では、伊耶那岐命(いざなぎのみこと)と伊耶那美命(いざなみのみこと)が国生みのために天の沼矛(あめのぬぼこ)で海水をかき混ぜると、天の沼矛からしたたり落ちた塩から淤能碁呂嶋(おのごろしま)ができました。二柱の神は、この島に天の御柱(あめのみはしら)と八尋殿(やひろどの)を建てました。伊耶那岐命は天の御柱を左回りに周り、伊耶那美は右回りに周って出会ったところで、伊耶那美命から「ああなんと、りっぱな男性だろう」と声をかけ、伊邪那岐命は「ああなんと、美しい女性だろう」と応えて、水蛭子(ひるこ)と淡島(あわしま)を生みましたが不具の子でした。再び柱を回り、今度は伊耶那岐命の方から誘って、淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対島、佐渡島、本州を生みました。

東南アジアから東アジアの広い地域には、兄妹始祖型洪水神話が見られます。それは、大洪水から兄妹だけが生き残り、この兄弟が、樹木や山など高い物の周りを回ったあとに近親結婚して子供をもうけますが、最初の子供は肉塊や動物であり、天や神から正しい交わり方を教えられて初めて人間の子供ができる。という神話です。

日本の国生み神話もその類型と考えられます。

国生み神話に登場する淤能碁呂嶋がどの島をモデルにしたかについては、諸説ありますが、1番目に淡路島を生み、2番目に四国を生みますので、やはり、淡路島と四国の近くのと考えるのが妥当でしょう。そうなると最有力候補は沼島となります。そして、国生み神話に登場する天の御柱と見立てられているのが上立神岩です。

上立神岩のすぐ近くの平バエと呼ばれる岩礁では、沼島八幡神社の平バエ祭が行われています。平バエの周りを反時計回りに船で3周回って海上安全と大漁を祈願する祭りですが、昔は、上立神岩を国生み神話の天の御柱と見立てた信仰があったのではないかと思います。

この上立神岩の南西700メートルの地点に、これと対となる下立神岩があります。下立神岩は、上立神岩よりもさらに大きかったのですが、安政元年の地震で半分に折れ、室戸台風でさらに上部が崩れてしまいました。上立神岩も昔より形が変わっており、これらの岩石は、時間経過とともに崩れているのです。

神石という名前から石神に分類しました。 

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