061 滋賀県 阿賀神社の夫婦岩

【Introduction of Iwakura 61】


□分類:信仰設備(広義のイワクラ)

□信仰状況:神社に祭祀されている

□岩石の形状:双巨岩

□備考: 周辺に岩石群


□住所: 滋賀県東近江市小脇町

□緯度経度:35°07'05.16"N 136°10'53.57"E

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滋賀県東近江市に岩石が露頭した異様な景観の赤神山があり、その中腹に阿賀神社が鎮座しています。御祭神は、正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)で、天照大神の長男にあたります。

この阿賀神社は1876年(明治)に建てられた神社であり、それ以前は、山麓の成願寺が赤神山(太郎坊山)を修験の山としてきました。成願寺は、799年に最澄が創建したと伝わり、中世においては、紀州熊野三山へ信者を導く熊野先達寺院でした。一方、阿賀神社の創祀は、聖徳太子が瓦屋寺を創建した7世紀と言われていますが、山岳宗教の前に純粋な神道がこの地に存在していたかどうかは不明です。

赤神山で最も有名で大きな岩石は夫婦岩です。数十メートルの巨岩が2つに割れて幅80センチ長さ12メートルの岩の隙間ができており、そこを通って本殿に参拝することになっています。大神の神力により真二つに押し開かれたとされ、この岩の間を通って参拝する者は病苦を除き願いがかなうが、悪心ある者は岩に挟まれる。といわれています。

『近江輿地志略(1734年)』には、「十丈許の妙石」と書かれており、夫婦岩と呼ばれ出したのは最近だと考えられます。また、修験道がこの山を支配していた中世は、2つの妙石を胎蔵界と金剛界の大日如来に見立てて、不動明王が祀られていました。さらに、この夫婦岩は太郎坊の住処であるとの言い伝えも残っています。

赤神山の別称となっている太郎坊は大天狗の名前で、京都愛宕山の太郎坊のことだと考えられます。これも修験道の影響です。ちなみに八大天狗は、京都愛宕山太郎坊、滋賀比良山次郎坊、京都鞍馬山僧正坊、長野飯縄山三郎坊、鳥取大仙伯耆坊、福岡彦山豊前坊、奈良大峰山普鬼坊、香川白峰山相模坊です。

夫婦岩の入り口には、「磐境信仰発祥の地、近江高天原」と書かれた看板が立っています。何を根拠に磐境信仰発祥の地としているのかわかりませんが、夫婦岩には、注連縄が巻かれていて、祀られているのは確かなようです。

夫婦岩は、磐座でも石神でもありませんが、神社が磐境として祀っていることや神が奇跡を起こした対象なので、信仰設備(広義のイワクラ)に分類しました。

他に玉石社、源義経の腰掛石、不上石などがあります。

 

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