155 愛媛県 伊豫豆比古命神社の潮鳴の石

【Introduction of Iwakura 155】Visit・Photo:2021.9.19 /Original:2021.9.21 / Write:2025.2.2


□分類:信仰設備(広義のイワクラ)

□信仰状況:祭祀されていないが過去に信仰の形跡あり

□岩石の形状:岩単体、横石、ストーンサークル(環状列石)の一つ

□備考:人工物

 


□住所:愛媛県松山市居相

□緯度経度:33°48'33.386"N 132°46'14.354"E

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伊豫豆比古命(いよずひこのみこと)神社は、松山城から南に3キロメートル離れた場所に鎮座しています。

この神社は、2013年に御鎮座2300年祭を行っており、社伝では紀元前3世紀まで遡る古社となっており御祭神は、伊豫豆比古(いよずひこ)命、伊豫豆比売(いよずひめ)命、伊与主(いよぬし)命、及び愛比売(えひめ)命を祀っています。

『延喜式』には、伊豫郡四座の中に伊豫豆比古命神社が記載されおり、『特選神名牒』によると、御祭神は、伊豫豆比子命と古伊豫豆比賣命となっており、居相村に鎮座しています。一方、名神大社である伊豫神社の御祭神は伊與主命で、神崎村に鎮座しています。この2つの神社は、名前が似ているため混同されています。天平神護二年(766)に従五位下が伊豫神に神階が授けられていますが、どちらの神なのかが明確ではありません。また、現在の伊豫豆比古命神社には伊与主命が祀られていますが、これは後から付け加えられたと考えられます。

伊豫豆比古命神社が鎮座する丘は、かつて海に面しており、舟山と呼ばれる場所が境内に残っています。

「往古、伊豫豆比古命・伊豫豆比売命の二柱の神様が舟山に御舟を寄させ給い、潮鳴栲綱翁神(しおなるたぐつなのおきなのかみ)が艫綱を繋いでお迎えした。」との伝承が残り、この潮鳴栲綱翁神を祀る奏者社は、取次ぎの神とされ、本殿に参拝する前にお参りする習慣があります。

椿神社という別称については「津の脇の神社」から「つわき神社」と呼ばれ、これが転訛して「つばき神社」となったと言う説と、椿が自生していたので「つばき神社」となったという2つの説が残っています。

旧暦1月8日に行われる特殊神事の「おしのび渡御」は、立春に近い上弦ノ頃、月光り潮満つる刻限に、神輿が本殿を出御し表参道から大鳥居を抜けて金比羅社の御旅所に向かい、同じ道を還行します。かき夫は一切声を発せず神輿を揺することなく渡御が行われます。大神が翁神に迎えられた故事にならったものとされていますが、一般の賑やかしい神輿とは異なって、夜に提灯に照らされながら行われる静かな祈りの神輿となっています。おそらく、これは「みあれ神事」であったと考えられます。また、社殿は東を向いており、太陽崇拝を意識していることからも古い祭祀形態を残している神社であることがわかります。

境内には、祓岩という岩石があり、厄玉の穴に息を吹き込んで祓岩に投げつけて砕くことで、穢や災を祓います。

この他に、神社の境内に立石と呼ばれる岩石が存在しています。この岩石は、筆者の見る限り6個あり、長辺が高さ方向に直立している立石と長辺が横の方向の横石があります。この横石は立てられていたものが倒れたのかもしれません。その横石の一つは「潮鳴の石」という名前が付いていています。この石を打ち、耳を当てると潮騒が聞こえるという言い伝えが残っています。岩質は花崗岩のようですので、他の場所から運んできたと考えられます。神職のお話では、この立石は、古来から動いていないとのことですので、本殿が立石によって取り囲まれていることになります。また、神社の境内から壷、器台片や高坏片が出土しており、社殿の下には棺らしきものの存在がレーザー探査によって確認されています。したがって、立石に囲まれた弥生時代の墳丘墓の上に社殿が建てられているようです。

立石に囲まれた墳丘墓といえば、岡山の楯築遺跡【Introduction of Iwakura 35】を思い浮かべますが、器台片も出土していることから、吉備王国と関係があったかもしれません。

現在、潮鳴の石は信仰されていませんが、岩石で構成された祭祀場であったと考えられますので、信仰設備(広義のイワクラ)に分類しました。

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