059 徳島県 天磐戸神社の天磐戸

【Introduction of Iwakura 59】


□分類:磐座(狭義の磐座)

□信仰状況:神社に祭祀されている

□岩石の形状:巨岩組、岩屋

□備考: 周辺に岩石群


□住所: 徳島県美馬郡つるぎ町一宇法正

□緯度経度:33°54'15.83"N 134°03'49.27"E

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徳島県美馬郡つるぎ町一宇中野に下宮神社が鎮座しています。天日鷲命を御祭神とする忌部神社の末社でした。

この近くの案内看板には「これより約2時間、法正地区の峰近く巨岩が割れて出来た洞穴が在る。入口は岩戸の趣があり、幅1m、奥行き約9m、その前に神楽石と呼ばれる約45平方の長方形の平磐が在る。これら奇岩の神秘さは古事記、日本書記に登場する天の岩戸神話ぴったりの舞台で、江戸時代の上期より、年に一度神楽歌と舞が奉納されていたという。神楽石の下方には、天鈿女神と猿田彦神の石像、そのまた下方には天照大御神と手力男神を祀る天の岩戸太神宮が鎮座している。(剣山貞光一宇峡観光協会)」と書かれており、下宮神社から貞光川を渡り、山越えした先に天磐戸神社があります。

このように、人を寄せ付けない場所にある神社でしたが、2017年頃に林道が通り容易に参拝できるようになりました。この神社も忌部神社の摂社であったといわれています。

天磐戸神社の御祭神は天手力雄命ですが、天照大神の木像が祀られている事から地元の人は、天照大神と考えているそうです。

天磐戸神社から西へ100メートル登ると標高883メートルの天磐戸にたどり着きます。天磐戸の周りには、大きな盃状穴のある石、三角形の手水鉢、天鈿女命と猿田彦の素朴な像、磁気異常、線刻(近年のいたずらの可能性もあり)があり、岩屋の西側には天石戸別を祀る磐座などが存在しています。また、この山には祭祀跡が数ヶ所あるそうです。

中でも神楽石の大きさには驚きます。その上面は平らになっており、江戸時代にはこの神楽石の上で岩戸神楽が舞われていました。今は貞光の松尾神社で大晦日に行われ、スサノヲの乱暴により、アマテラスが岩戸に隠れ、天児屋命(中臣)と太玉命(忌部)が幣の舞を舞った後、ウズメの舞とタジカラヲによって岩戸が開き、アマテラスが光と喜びを与えるという20分程度の神楽だそうです。江戸時代に、この場所まで神楽の衣装を持って登るのは大変なことだったと思います。

この神楽石を見下ろすように存在しているのが天磐戸です。青石に囲まれた岩屋の奥は深く、聖地の趣があります。またその前に神楽石という舞台がセットで存在する光景を見ると、誰しもが天岩戸神話を思い浮かべるでしょう。

全国に天岩戸はたくさん存在しますが、ここほど神秘的な雰囲気に満ちている場所はないでしょう。

 

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