【Introduction of Iwakura31】
□分類:岩石信仰(広義のイワクラ)
□信仰状況:神社に祭祀されている
□岩石の形状:巨岩群 三つのメンヒル(立石)
□備考:
□住所:島根県出雲市坂浦町
□緯度経度:35°29'46.71"N 132°51'12.10"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
出雲市板浦町に、「たていわさん」と呼ばれ、氏子に大切に守られている立石(たていわ)神社があります。この神社の氏子の半数は「立石」という姓を名乗っているそうです。大正期まで社殿が建っていましたが、今は社殿はありません。
しめ縄で結界された木の間をくぐると、巨大な岩石の前に御幣が立てられており、古代の祭祀場がそのまま残っています。見上げると高さ12メートルの巨岩が立っていて、その巨岩は3つに分かれています。
『雲陽誌(1717年)』には「山の神」として紹介されていますが、この岩石で祈祷した御幣を持って雲見峠まで行くと、必ず雨が降ったと伝わる雨乞いの神でもあります。
また、御祭神は、多伎都比古命(たきつひこのみこと)です。『出雲国風土記』には、阿遅須枳高日子命の后である天御梶日女命が多具の村で産んだ子供が多伎都比古命であると記載されています。阿遅須枳高日子命は、高鴨神社に祀られている迦毛大御神(かものおおみかみ)で、大国主命と多紀理毘売命の子供ですから、多伎都比古命は、大国主命の孫にあたります。
現在は、社殿がなく、祭祀の詳細はわかりませんので岩石信仰と分類しました。
『出雲国風土記』には、神名樋山(かむなびやま)に多伎都比古命の石神があり、日照りの時に雨乞いをすると必ず雨が降ったと書かれています。ここに登場する石神は、出雲市多久町の大船山の烏帽子岩とする説が有力ですが、大船山の真北1.8キロメートルの所に位置するこの立石も深い関係があると考えられます。
この立石神社から南東800メートルの位置に、多伎都比古命の姥(うば)を祀った老母石(おぼいし)神社がありましたが、今は小さな石が祀られているだけとなっています。
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