【Introduction of Iwakura 57】
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:神社に祭祀されている
□岩石の形状:巨岩単体、岩盤
□備考:
□住所: 岡山県赤磐市石上
□緯度経度:34°51'07.11"N 133°58'09.17"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
石上布都魂神社の御祭神は素戔嗚命とされていますが、江戸時代は十拳釼及び布都之魂という剣を祀る神社でした。
『古事記』に、素盞嗚命が、八岐大蛇を退治し、大蛇の尾から天叢雲剣を取り出し、その剣が天皇の三種の神器の一つである草薙剣となる有名な話が書かれていますが、『日本書紀』には、「一書にいはく」として「其の素盞嗚尊の、蛇を断りたまへる剣は、今吉備の神部の許に在り」と書いてあります。
つまり、素盞嗚命が八岐大蛇を退治した十拳釼がこの石上布都魂神社に祀られていたのです。さらに、宮司のお話では、崇神天皇の御代に疫病が流行り、霊剣が備前の石上布都魂神社に在ることを知った天皇が、霊剣を大和に移されて疫病をしずめたそうです。その移された先は、石上坐布留御魂神社つまり天理の石上神宮です。この神社は本殿を設けずに布留高庭を祀っていましたが、1874年からの布留高庭の発掘調査で、鉄剣が出土しました。その内の一振りが吉備から移された十拳釼である可能性があります。
社殿から100メートル程の急な山道を登ると裏山の頂上に着きます。その山頂には、岩盤の上に岩が配置されている荘厳な磐座があります。露出した岩盤は禁足地となっていますが、風化がかなり進んでいます。
1910年(明治43年)に火災にあうまでは、この磐座の前に社殿が建っていましたが、1915年(大正4年)に山の中腹に現在の社殿が再建されました。祭祀の場所が山頂の磐座から山の中腹に移動した例の一つです(筆者持論、磐座から神社への変遷説『イワクラ学初級編(2016)』)。
また、この岩盤は、はるか昔から祀られていた聖地であり、そこに十拳釼がもたらされて、「素盞嗚の八岐大蛇退治伝説」が習合したと考えられます。
なお、近くには、素盞嗚命が八岐大蛇を斬った剣を洗った言い伝えがある血洗の滝や素盞嗚命の三人の娘を祭る宗像神社があり、この伝承を彩っています。
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