093 岡山県 正儀のゆるぎ岩

【Introduction of Iwakura 93】


□分類:岩石信仰(広義のイワクラ)

□信仰状況:祭祀されていないが信仰の形跡あり

□岩石の形状:巨岩組、ゆるぎ石

□備考: 周辺に岩石群、参道はなくなってしまっている


□住所:岡山県東区正儀

□緯度経度:34°35'32.468"N 134°03'17.890"E

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吉井川の東河口付近の正儀地区の地図には、ゆるぎ岩と千本岩の名称が載っていました。東南の山の千本岩は、遠くからでも良く見える巨岩でしたが、石材として切り出されて今は残っていません。一方、ゆるぎ岩は、今でも山の中に残っています。

ゆるぎ岩へ登る登山道はありませんが、頂上を目指して登っていくとたどり着きます。

巨岩の上に岩が載っています。また、その対面には石の祠があり、祠の後ろにも不安定な岩が載っていますが、おそらく写真に写っている岩石がゆるぎ岩なのでしょう。

また、周りの岩陰には、祭祀道具が放置されています。石の祠は空で、祭祀されている様子はありませんが、昔は岩石祭祀が行われていたようです。

この「正儀(まさき)」という土地の名前ですが、私が知る限り、岡山には総社市秦の麻佐岐神社のある正木山と、岡山市東区中川町の征木稲荷大明神がある征木山という、「まさき」という土地が、他に2か所があります。

麻佐岐神社は、Introduction of Iwakura 16で紹介しましたが、磐座を祭祀している神社で、その正木山から2.5キロメートル東の秦地区には秦氏が建てた秦廃寺跡があります。また、征木稲荷大明神も岩石を信仰している神社で、この征木山から北西3キロメートルの所に幡多廃寺跡があります。これらのことから、この正儀のゆるぎ岩も秦氏が祭祀していたのではないかと推測します。

佐藤光範氏は「まさき」の「まさ」は「太秦(うずまさ)」の「まさ」であるという見解を示されています。

 

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