042 奈良県 山添村の吉備津神社の磐座

【Introduction of Iwakura 42】


□分類:磐座(狭義の磐座)

□信仰状況:神社に祭祀されている

□岩石の形状:巨岩単体、岩盤

□備考:


□住所:奈良県山辺郡山添村西波多

□緯度経度:34°41'16.0"N 136°2'12.5"E

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奈良県山辺郡山添村に吉備津神社が鎮座しています。御祭神は吉備津彦命となっており、岡山の吉備津神社の分社の一つと考えられます。

一直線の階段を登ると拝殿があり、そのさらに上に巨大な岩にとりつくように小さな社があります。この社は、後から便宜的に付け加えられたもので、御神体は明らかに巨大な岩石です。高さ6メートル幅10メートルの岩石は山肌に埋まっているので岩盤と捉えても良いでしょう。

通常の神社は北の方向を向いて拝するように建てられますが、この神社は北東を拝するように建てられています。この方向は岩石を拝する方向であり、逆方向に参道を伸ばした先に山添村の聖なる山である神野山を望む方向でもあります。

この吉備津神社は、磐座を祀るために、磐座の前に拝殿を建てた形式と考えられます。

この神社には太鼓が奉納されていて、祭祀を怠ったり、異変があると真夜中に太鼓の音が響くと言われています。

現在は、吉備津彦命を祀っていますが、本来の神は、自然神である山ノ神であったと考えられます。

神社の境内には山ノ神の石碑が建てられ、その前には山民の七つ道具を象った木製祭具が供えられています。山ノ神の石碑には、「西のくにのいとわた 東のくにのぜにこめ だいこはきねほど かぶらはうすほど 山の神のヤッサンヤー」という鍵引き歌が彫られています。

鍵引き神事は、「山ノ神」を「田ノ神」として集落に迎え入れるために、木の枝で作った鍵手を使って引き寄せる神事で、山ノ神の石碑近くに張られた注連縄にひっかけます。鍵引き歌はその時に歌われ、山ノ神とともに糸綿や銭米も引き寄せ、大根やかぶらも大きく育つように願いました。この時に藁に石を包んで作ったホウデンと呼ばれる飾り物も吊るされます。これは明日香村のオツナカケに類似した神事と考えられます。

山ノ神の石碑は、自然石に「山ノ神」と線刻したものが用いられるのが通常で、この吉備津神社の石碑も昔はそのような自然石であったと思います。

磐座や線刻石を通して山ノ神に祈り、七つ道具を供えたり、鍵引き神事を行ったりする祭祀儀礼は、今もなお山添村の各集落で行われています。

 

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