【Introduction of Iwakura177】Visit:2011.10.01/Photo:2013.04.29/Write:2025.6.14
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:神社に祭祀されている。
□岩石の形状:石単体
□備考:
□住所:奈良県桜井市三輪
□緯度経度:34°31'48.637"N 135°51'12.067"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
大神神社から狭井神社に向かう道の中間に、磐座神社が鎮座しています。
立看板には以下のように書かれています。
「大神神社摂社 磐座神社 御祭神 少彦名神 御例祭 十月十一日
御由緒 御祭神の少彦名神は大物主大神と共に国土を開拓し、人間生活の基礎を築かれると共に、医薬治病の方法を定められた薬の神様として信仰されています。三輪山の麓には辺津磐座とよばれる神様が鎮まる岩が点在し、この神社もその一つです。社殿がなく磐座を神座とする形が原始の神道の姿を伝えています。」
『大三輪社勘文』には「神崇秘書、邊宮中磐座南無神有磐座、稱邊磐座、□少名彦命也、清寧天皇御代、依神□令賀茂君荒少□命(大鴨積命 八世孫)齋祠之、鎮座次第伝、清寧天皇元年十月乙卯日也」と記載され、清寧天皇の御代に賀茂君が少名彦命の辺津磐座を祀ったと書かれています。
また、『大三輪鎮座次第』には「磐余甕栗宮御宇天皇、勅大伴室屋大連、奉幣帛於大三輪神社、祈禱無皇子之儀、時神明憑宮能賣曰、天皇勿慮之、何非絶天津日嗣哉、上古吾與少彦名命、戮力一心、所以經營天下、其所以而今少彦名命、來臨吾邊津磐座、與吾及和魂共能可敬祭、守皇孫濟人民矣、於是起立磐境、崇祭少彦名命于時天皇元年冬十月乙卯日也、仍鎮座次第如件、十一月十六日夜勘作之」と記載され、清寧天皇が大伴室屋大連を遣わして皇子が生まれるように祈祷したときに、宮能賣が神憑りし、大神の和魂と共に少彦名命を祀るように命じたと書かれています。
従って、第22代の清寧天皇の時から、辺津磐座に少彦名命を祀り始めたと考えられます。ただし、この清寧天皇が祀った辺津磐座が磐座神社であったかどうかはわかりません。
ちなみに清寧天皇は生まれつきの白髪なので、アルビノだったのではないかと言われている天皇です。
また、『大神崇秘書(1119)』によると、第5代孝昭天皇が中津磐座に大己貴命を祀ったと書かれていますので、時代が下るとともに、頂上にある奥津磐座から中津磐座を経て、麓の辺津磐座へと祭祀が広がっていく様子が確認できます。
少彦名命と大国主命と大物主神の関係については、『日本書記』にも『古事記』にも記載されています。
『日本書記』では、少彦名命は、鷦鷯(さざき)の羽を着て白蘞(かがみ)の皮の舟に乗って出雲国の五十狭の小浜にやってきた高皇産霊尊の息子でした。大己貴命と協力して天下を造った後に、出雲の熊野岬から常世に行った、または、淡嶋で粟茎によじ登ったときに弾かれて常世に行ってしまいました。少彦名命が常世に去り、残された大己貴命が途方に暮れていると、海上を照らして近寄ってきた光がありました。大己貴命がお前は誰だと聞くと、私はお前の幸魂奇魂だと答えました。これから何処に住みたいと聞くと、「吾欲住於日本国之三諸山」と答えたので宮殿を造って祀りました。それが大三輪の神です。と書かれています。
一方、『古事記』では小名毘古那神は、鵝(が)の皮を着て、天の羅摩(かかみ)船に乗って出雲の御大の御前に(美保岬)にやってきた神がいました。久延毘古に尋ねると神産巣日神の息子であることがわかりました。大穴牟遅命(大国主命)と協力して国を造り固めました。後に海原の彼方の常世の国に渡っていきました。残された大国主命が誰と国造りを行ったら良いのかと途方に暮れていると、海上を照らして近寄ってきた神が私を祀ればあなたとともに国を造ろう、そうでなければ国造りはうまくいかないだろうと言いました。大国主命がどこに祀れば良いかと聞くと「吾をば倭の青垣の東の山の上にいつき奉れ。」と答えました。これが御諸山の上に坐す神なり。と書かれています。
同じ話を伝えたものと思います。しかし、『日本書記』では、大物主と大国主を同一視しているのに対して、『古事記』では、大物主が大国主を脅す場面があり、別の神として扱っているところが異なります。
磐座神社には社殿はなく、板垣に囲まれた一つの石を祀っています。三輪山の麓に点在する辺津磐座を代表する磐座です。
現在は、祭祀されているようなので、岩石信仰に分類しました。
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