【Introduction of Iwakura 52】
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:神社に祭祀されている(神出神社)
□岩石の形状:岩単体、平石
□備考:周辺に対となる裸石神社がある
□住所:兵庫県神戸市西区神出町
□緯度経度:34°45'34.44"N 134°59'59.36"E
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明石から北へ向うと、そっくりな二つの山が見えてきます。この雄岡(おっこ)山と雌岡(めっこ)山は、非常に目立つ地形で、伝承に彩られています。
二つの山が牛の角のように見えたので男牛(おご)、女牛(めご)と呼ばれ山の名前となり、雌岡山に牛頭天王が祀られて、天王山とも呼ばれていました。巨人が金棒を雄岡山と雌岡山に突き刺して担ぎ上げようとしましたが、金棒が折れて地面に落ち、そこが金棒の形の池になったという説話があります。また、雄岡山と雌岡山には男女の夫婦の神が住んでいましたが、男神が、小豆(しょうど)島の美しい女性に会うために、大鹿に乗って海を渡ってた時に、猟師の矢が鹿にあたって男と鹿はおぼれてしまいました。血で赤くなった鹿は岩になり、その赤石が、明石(あかし)の地名となったという地名説話が残っています。
この地は伝説の宝庫で、古くから人々の関心を集めていた信仰の地でした。
雌岡山の頂上に鎮座する神出神社の御祭神は、素戔嗚命、奇稲田姫命、大己貴命です。
素戔嗚命、奇稲田姫命の二神がこの雌岡山に降臨され、薬草を採取して住民の病苦を救い、農耕を指導されました。二神の間に多くの神々がお生まれになり、大己貴命もこの地でご生誕されたので、この地を神出と言うようになったと伝わります。
神出神社の150メートル北に姫石(ひめいし)という磐座が祀られています。
昔は台石または方丈盤石と呼ばれていました。前述した明石の地名説話に登場した雌岡山の女神が、雄岡山の男神に先立たれた悲しみで荒れ狂い地元に流行り病の災いをもたらしていました。そこで村人が、女神を慰めるために台石の上で夫婦の睦びを演じた祭りを行うと、女神は鎮まり流行病も治まりました。その後、女神は台石の上で大きな赤子を産み、清瀬の水を産湯に使ったと伝わります。
姫石は、イワクラ学的には、女陰を表す三角形の岩石を中心とした岩群です。
姫石の50メートル東に裸石神社が鎮座していますが、3百年前に、姫石に対峙する彦石を鳥居の石材から造ったのが始まりで、社殿を建てたのは大正時代です。彦石と一緒に祀られている小さな男根石と女陰石は、最近奉納されたものですが、彦石のまわりには、おびただしい数の鮑が奉納されています。これは、参拝者が、彦石という男根に女性の代替としての鮑を供えたものと考えられ、子孫繁栄の祈りが込められています。古代において子孫を残すことは重要であり、性交は喜ばれる行為でした。『古事記』の伊邪那岐命と伊邪那美命が行う国生み神話においても、非常におおらかに描写されています。したがって、男性器や女性器を模った岩を祀ることは、ごく自然の事でした。神出神社には、現在でも女性や男性の性器を模った置物や春画などが奉納され続けています。
なお、正確に東西に並ぶ雄岡山と雌岡山の配置は意図的に造られたのかもしれません。雄岡山の頂上には小さな祠があり、木花開耶姫と帝釈天が祀られていますが、宮司の話では、干ばつの時にだけ雨乞いの祭りを行う場所だといいます。雌岡山に特徴的な磐座が存在しているのに対し、雄岡山にはそのようなものは見当たりません。これは、広島の葦嶽山ピラミッドに対する鬼叫山と同じ構造であり、雄岡山が人工的に造られたピラミッドで雌岡山はそれを拝する施設であったのではないでしょうか。雌岡山の頂上から雄岡山を眺めると、春分・秋分の時に太陽が雄岡山の向こうから昇ります。そしてこのラインは六甲山を代表する磐座である越木岩神社の甑岩に寸分たがわずに至るのです。
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