【Introduction of Iwakura 114】
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:神社に祭祀されている
□岩石の形状:岩組
□備考:一つの巨岩が割れた岩組
□住所:兵庫県西宮市山口町船坂
□緯度経度:34°46'48.02"N 135°16'18.41"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
六甲山の東麓に六甲山(むこやま)神社が鎮座しています。六甲山神社には、神功皇后が三韓征伐で持ち帰った神の石を納めたとか、黄金の鶏を埋めたとかという伝説が残っていますが、石祠の奥には、六甲山大権現をはじめ数多くの石碑が立っており、修験道の霊山であったことを物語っています。現在は、白山修験の山伏の影響のために菊理媛命(くくりひめのみこと)を御祭神としています。しかし、この神社は、広田神社の境外末社であることから、撞賢木厳魂天疏向津媛命つまり瀬織津姫を祀っていた可能性があります。また、この場所は、芦屋川と住吉川の分水嶺にあたるために、山麓の村人が雨乞いを行った場所もありました。沢蟹を石祠に投げつけて帰るとか、雨蛙を2匹石祠に擦り潰して帰るといった、弁天岩【Introduction of Iwakura 24】と類似の話が伝わっています。
さて、この神社の石祠は、石の宝殿とも呼ばれていますが、越木岩の村人が1613年に建立したものです。越木岩神社の中座(磐座)の前に祀られた貴船社には、次のような看板が立てられています。「貴船社 祭神 貴船大神・龍神、水に縁ある諸業守護し給う。炎早霜雨、豊年、海上安全、当社の奥宮は六甲山石宝殿であり雨乞いの霊験は特にあらたかである。」これらからのことから、越木岩神社は、六甲山神社と深い関係があることがわかります。
この石祠から少し離れた場所に、3メールほどの磐座が祀られており、この磐座が六甲山神社の御神体と考えられます。六甲山神社は、菊理媛を祀っているために、若い女性の参拝者が多く訪れる場所ですが、この磐座まで足をのばす人はほとんどいません。
筆者は2017年に、関係の深い六甲山神社の磐座から越木岩神社の中座を結ぶと、冬至の日の出方向と一致することを発表し、拙著「イワクラ学中級編(2021)」に収録しました。さらにこのライン上の中間地点には、方位を示す巨大な亀形のイワクラも置かれており、意図的に設計されたものと考えています。筆者が提唱する六甲山に走るレイラインの中で、重要なラインの一つとなります。
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