【Introduction of Iwakura 118】
□分類:奇岩(非イワクラ)
□信仰状況:祭祀されていない
□岩石の形状:巨岩組
□備考:
□住所:兵庫県神戸市灘区六甲山町
□緯度経度:34°45'06.85"N 135°12'55.67"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
六甲山町の丁字が辻の西側に伸びる細い道を入っていくと三国岩(みくにいわ)が現れます。三国岩は、高さ約10メートル、幅約5メートルの巨岩組で、5個の巨岩が積み重なっています。下に土台もありそうなので、もう一段あるのかもしれません。また、一番上の巨岩が一番大きいので、自然の景観としては非常に違和感があります。この異様さが理由なのでしょうか、昭和初期の絵葉書に何度も採用されるほど、六甲山を代表する名所でした。
「この三国岩は六甲山の分水嶺であり、かつては武庫、莬原、有馬三郡の境界点でもありました。」という説明板が立っています。しかし、この岩の古名は、一見、三個の岩が積み重なっているように見えることから三石岩(さんごくいわ)と呼ばれていました。「さんごくいわ」が昭和の初期に「三国岩」の漢字が当てられて「みくにいわ」に変化したと考えられます。したがって境界点を示す岩石という立て看板の説明は、後付けということになります。
では、この巨岩組は、ただの奇岩なのでしょうか。
昭和6年頃に20回にわたって六甲山を調査した神道家の荒深道斉は、この三国岩について、二重式神籬の南座であり、40度の傾斜地に4個の巨石で基礎を築き、厚さ八尺、幅十八尺の巨石にして表面に天体図を小穴と線で表している。と述べています。また、別の箇所には、神籬主座の岩門ではないかとも述べています(荒深道斉:『天孫古跡探査要訣』(1939)より)。
荒深は神籬の南座と述べているものの、現在の三国岩は祭祀されておらず、過去にも祭祀されていた形跡はありません。
また、荒深は、岩石の表面に小穴と線で天体図が描かれているとしていますが、窪みの大部分は人工の盃状穴ではなく、自然に形成された窪みに見えます。
したがって、現時点ではイワクラである証拠は希薄ですので、奇岩に分類するしかありませんが、その巨岩にあいた無数の穴が海岸の岩石に発生する穴であるならば、海岸から山の上まで待ち上げられた人工物の可能性が出てきます。
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