【Introduction of Iwakura 70】
□分類:伝承岩石(非イワクラ)
□信仰状況:祭祀されていない
□岩石の形状:巨岩単体、岩盤
□備考:周辺に石鞍あり
□住所: 兵庫県姫路市石倉
□緯度経度:34°52’58.04”N 134°36’34.39”E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
兵庫県姫路市の石倉に、三角形のとんがり山が天を衝くように聳えています。頂上が尖がっているため一際目立っています。
『播磨国風土記』に、次のような記述があります。
「大汝命と少日子根命の二柱の神が、神前の郡、ハニ岡の里 生野の峯岑に在しました。この山を望み見られて、云はれますに、「かの山は、まさに稲種を置くによし」と。すぐさま、稲種を遣りて、この山に積みました。山の形もまた、稲積みに似ています。故に、稲種山(いなだねやま)と号け曰れます。」
この風土記の稲種山がどの山を指すのかについては諸説ありますが、とんがり山は天に向って高く積み上げられた稲積そのものなので、筆者は風土記の稲種山だと考えています。
このとんがり山の中腹に亀の甲羅のような亀岩があり、次のような看板が立っています。「亀岩の伝説 この先にある亀岩のくぼみには、年中枯れることなく小水がたまっています。崇神天皇の時代(前八四年)にその亀岩に香稲(かしね)が4本生え、その稲の種を天皇の命により諸国に耕作しました。以後、諸国に流布した香稲は、この岩に生えていた4本の香稲の種子であったといわれております」
これは、『峰相記』に書かれている伝承ですが、おそらく、風土記の稲種山から派生した伝承だと思います。
亀岩に立つと、周りを見渡せる絶景が広がります。そして、北側を見上げると、とんがり山の頂上が迫ってきます。このロケーションには特別な神秘感がありますが、亀岩に祭祀の形跡はありませんので、伝承に登場する岩石(非イワクラ)に分類しました。
なお、この山の麓は石倉という場所で、石の鞍が祀られています。『播磨鑑』には、「石鞍 太田郷在石鞍村 昔より自然の石の鞍有を備前へ取て今路邊に形を模し置と云 神功皇后石ノ鞍ヲ置玉フ所ト云 今ノ石ハ里民ノワサニヤ書覺束ナシ皇后ノ由縁有リ』と書かれています。つまり、本物は備前に持っていかれ、これはレプリカのようです。
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