【Introduction of Iwakura 123】
□分類:目的不明の岩石遺構(広義のイワクラ)
□信仰状況:祭祀されていない
□岩石の形状:岩単体
□備考:人工物と推測するが既に存在しない。中腹に剣岩があり、麓に鏡岩がある。
□住所:兵庫県芦屋市奥池南町
□緯度経度:34°46'01.42"N 135°17'54.30"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
1931年(昭和6年)頃に20回にわたって六甲山を調査した神道家の荒深道斉は、ごろごろ岳の中腹に剣岩、麓に鏡岩を発見し、それぞれ叢雲釼と八咫鏡と判別しました。三種の神器に模しているなら、八尺瓊勾玉の岩石が無いのはなぜであろうか、そう疑問に思っていたところ、2013年にごろごろ岳頂上部で勾玉の形状をした岩石を発見しました。
ごろごろ岳の頂上部は、岩の上に立って風向きを確認したといわれる風の岩と呼ばれる岩石がありました。しかし、登山道から30メートル離れており、木々に覆い隠されていたために、私の知る限りその全体像がまともに取り上げられたことはなかったようです。その場所の樹木が伐採され丸裸になった全貌が現れていました。
目を引いたのは、上面が平らに削られ下部に足がついた岩石で、祭壇岩に違いないと思いました。この祭壇岩の北には天を指した巨岩があります。神戸新聞(2008年3月19日)がごろごろ岳の頂上部を撮影した写真には、2つの巨岩の間に三角の岩を挟みこんだ女陰岩と考えられる特徴的な岩石が写っています。そうであるならこの巨岩は男根岩だと考えられます。この他にストーンサークルなどもありますので、この場は祭祀場であったと推測します。そして、祭壇岩の南東には、ぐにゃりと曲がった落花生のような形状の岩石がありました。これは勾玉を模ったものではないか、そう推察したのです。
ごろごろ岳の麓に鏡岩、中腹に剣岩があるのなら勾玉岩がごろごろ岳の頂上に存在していても不思議ではありません。また、鏡岩も剣岩も南から見ないとその形には見えないというギミックが施されていますが、この勾玉岩も南から見ないと勾玉に見えませんので、同じ設計思想で造られています。
これまで、叢雲釼のイワクラと八咫鏡のイワクラに対し、八尺瓊勾玉のイワクラは今は未だ眠っていると、まことしやかに伝えられてきましたが、その八尺瓊勾玉が姿を現したのです。
なお、荒深道斉はこれらの岩石を三種の神器に擬えて述べていますが、三種の神器が縄文時代に存在したわけではありません。むしろこれは逆で、八咫鏡のイワクラ、叢雲剣のイワクラ、勾玉のイワクラのそれぞれの形、つまり円、三角(または菱形)、勾玉形から三種の神器が創造されたのではないでしょうか。円と三角は基本図形であり、残る勾玉形については、胎児を表すというのが定説ですが、私は渦巻きの変形ではないかと考えます。このように仮定してみると、円、三角、渦巻きという図形は、縄文から続く線刻にも多くみられ、測量や力学を利用するには必要な概念です。これらが揃うと、角度測定、測量、力を低減化する滑車技術などにつながるのです。縄文時代から伝わる聖なる図形だったのではないでしょうか。
なお、この勾玉岩は既に存在していません。
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