【Introduction of Iwakura 58】
□分類:磐座(狭義の磐座)
□信仰状況:神社に祭祀されている
□岩石の形状:巨岩単体
□備考:周辺に神楽石や 産盥などがある
□住所: 京都府福知山市大江町
□緯度経度:35°25'53.00"N 135°08'58.0"E
(googleに入力すれば場所が表示されます)
福知山市に元伊勢内宮皇大神社が鎮座しています。
720年に書かれた『日本書紀』によれば、倭の笠縫邑で豊鍬入姫命によって祀られていた八咫鏡(天照大神)は倭姫命に託けられ、宇陀、近江、美濃を回って伊勢国に到った。となっています。804年に書かれた『皇太神宮儀式帳』では、この倭姫命の遷幸ルートが詳しく書かれ16ヶ所に増えました。さらに、鎌倉時代に書かれた『倭姫命世記』では30ヶ所に増え、最近では60ヶ所の候補地があると言われています。この中で豊鋤入姫命の遷幸ルートとして吉佐宮が登場し、それが福知山の皇大神社であるとして元伊勢と名乗っています。この吉佐宮については、籠神社摂社の真名井神社や笶原神社なども候補地となっているわけですが、その前に遷幸ルートに丹波国や吉備国が飛び地として登場するのは、やはり不自然で『倭姫命世記』の創作を疑ってしまいます。
一方、元伊勢外宮豊受大神社については、『日本書紀』には登場せず、『古事記』には天孫降臨の随神として登由宇気神の名が見えます。804年に書かれた『止由気宮儀式帳』によると、八咫鏡(天照大神)が伊勢に鎮座した後に、「丹波國の比沼の真奈井に坐せる御饌都神の等由気大神を我がもとに呼び寄せよ」との天照大神のお告げによって丹波から遷座させたことになっています。この比沼の真奈井についても比沼麻奈為神社、奈具神社、籠神社摂社の真名井神社などの候補地がありますが、いずれにしても伊勢の外宮の元となっているので「元伊勢」と名乗っていることに納得します。
大江町のこのニつの神社とともに元伊勢三社と呼ばれているのが天岩戸神社です。元伊勢内宮皇大神社の西を流れる宮川の上流に鎮座しています。天岩戸神社へと降りていく参道の途中の社務所から見降ろす川の中に甌穴があります。この岩のくぼみは「産盥」と呼ばれて、神様が湯浴みをした場所と伝わると同時に、雨乞いを行った場所との伝承も残っています。
宮川の東岸の岩壁の上に社殿が建てられおり、参拝するには鎖を使って岩場を登る必要があります。雨などで水かさが増したときは近づくことはできません。御祭神は、天岩戸に因んで櫛岩窓戸命と豊岩窓戸命という門を守る神様です。
川の中に入って西岸まで行くと、神々が降臨したといわれる巨大な御座石(みくらいし)を見ることができます。川をせき止めるかのように存在している巨岩は圧巻です。これを「天岩戸」に見立てた古代人の感覚は理解できます。また、御座石の前には、神楽を舞ったと伝えられる神楽石もあります。
この御座石は、神が天降った岩なので磐座と分類しました。
皇大神社に日室ヶ嶽の遥拝所が設けられていることからわかるように、本来のこの地は、美しい円錐形をした日室ヶ嶽を聖山として遥拝する祭祀場であったと考えられます。
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