126 三重県 内宮の瀧祭神

【Introduction of Iwakura 126】


 □分類:磐座(狭義の磐座)

□信仰状況:神社に祭祀されている

□岩石の形状:石単体

□備考:人工物


□住所:三重県伊勢市宇治館町

□緯度経度:34°27'20.21"N 136°43'19.14"E

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伊勢の内宮へ参拝するときは、右側通行で宇治橋を渡り、五十鈴川の御手洗場で心身を清めます。そして、御手洗場を南に進み、最初にお参りするのが瀧祭神です。地元では、この瀧祭神を、「とっつきさん」と 呼んでいます。まず「とっつきさん」にお参りし、今からお参りに行きますからよろしくお願いします、と大神に取りついでもらってから御正宮に進むのが、地元の参拝の仕方です。

また、旧暦の八月朔日や土用の丑の日に、御手洗場の水を瀧祭神に奉ったあと、家に持って帰ると無病息災で過ごせるという風習も伝わっています。

瀧祭神は、板垣に囲まれた中に、小さな三角形の石が祀られています。

神宮綜覧(1915)には次のように説明されています。「瀧祭神 皇大神宮宮域内に鎮坐す。其の神は、古来神殿を造立せず。本宮域内の五十鈴川の邊に石疊を構へて祭祀せり。古代は西岸なりし趣なるが、中古より東岸に移される。瀧祭神とは水神即ち伊弉冉尊の御子に坐す彌都波能賣神(みつはのめのかみ)を申すことにて、神宮にては、特に五十鈴川の水を引きて御常供田に漑ぐが故に、その水靈を祀らせ給ひしものなるべし。既に延暦の頃より専属の物忌を補佐する等、その取扱ひ一般の攝末社に異なるものあり、然れば今も神饌は別宮に準じ、幣帛は攝社に據りて祭祀せしめらむ。」

元は五十鈴川の西岸に祭られていた彌都波能賣神が今の場所に移されたと書かれています。また、伊勢の神宮は125社からなる総称ですが、その内訳は、正宮2社、別宮14社、摂社43社、末社24社、所管社34社、別宮所管社8社となっています。この中で、瀧祭神は、所管社でありながら特別に別宮並の扱いを受けています。権禰宜ではなく禰宜が奉仕し、別宮に準じた神饌が供えられます。特に三節祭の奉幣は、真夜中の鶏鳴の刻に行われ、祭典が済めば、後を見ずに帰らなければいけないという不思議な言い伝えがあります。これらのことは、神宮が瀧祭神を畏れていることを示しています。伊勢には既に土着の神がいたのですから、そこに天津神を祀るのは簡単なことではなかったと思います。この苦労を示したのでしょうか「倭姫命世記」には、倭姫命が伊勢の国に入りながら7箇所以上も流浪したと書かれています。

瀧祭神は、この地の地主神であるために神宮によって手厚く祀られているのではないでしょうか。

 

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