イワクラデーターの記載方法

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岩石の名称

岩石の名称は、「石」と書いて「いわ」と読ませるなど、その土地で独自のルールがあったり、名称が変化している例も多いですが、名称は岩石の性質も変化させてしまうため、できるだけその土地で呼ばれている名称を用いました。

また、夫婦岩や天の岩戸など、同じ名称が多い場合は、前に地名をつけて区別するようにしています。なお、名前がなく私的に付けた名前は、その旨を明記しています。


分類

●磐座(狭義の磐座):「神が降臨する岩石」として扱われている場合は、磐座信仰と考えられる。この場合、岩石は依り代であり道具である。

●石神(広義のイワクラ):「岩石自体を神」として扱われている場合は、石神信仰と考えられる。岩石自体を畏敬している場合や祟石、及び厄災の侵入防止のために村の境界に置かれる賽の神や道祖神などを含む。また、男女の生殖器に似た岩石を子宝及び安産祈願の神として崇める陰陽石もこの石神に含む。

●岩石信仰(広義のイワクラ):祭祀の内容が不明で磐座信仰なのか石神信仰なのかが判別できない場合。

●信仰設備(広義のイワクラ):祭壇石など信仰に使用された道具としての岩石。岩石で構成された祭祀場(磐境)、寺社の聖域を区別する結界石を含む。祭祀場に至るための石段のように祭祀から遠い岩石は含めない。また、神の墳墓として祭祀されていた岩石も含むが、弥生時代の墳丘墓や古墳時代の古墳などの墳墓として造られた石室や石槨などの岩石遺構は、イワクラとは扱わない。もちろん沖縄の屋形墓のような近年の墓もイワクラではない。

●天文利用のための岩石遺構(広義のイワクラ):縄文時代に天体を観測するために造られた岩石及び天体を模したモニュメントなど。天文考古学の研究対象物。

●通信利用のための岩石遺構(広義のイワクラ):縄文時代に狼煙に利用された岩石の穴や太陽を反射させた鏡石など。

●測量基点利用のための岩石遺構(広義のイワクラ):縄文時代に測量に用いられた岩石遺構。ただし、条里石や傍示(ぼうじ)石など、奈良・平安時代の条里制を設置するための境界石や起点石は含まない。

●目的不明の岩石遺構(広義のイワクラ):縄文時代に目的は不明だが人の手が加わった岩石。

●ランドマーク利用のための岩石遺構(広義のイワクラ):その土地の目印として人工的に据えられた岩石。船の所在を知るために利用された岩石(やまあて)なども含むが、自然の岩石を用いている場合は非イワクラとなる。また、基本的に道具であるが、岩石が信仰されている場合は石神にも分類される。

●石仏・摩崖仏(非イワクラ):岩石で造られた石仏や岩石に彫られた摩崖仏などは加工された岩石ではあるが仏教渡来以降の加工であるためイワクラとは扱わない。また、崇拝の対象は岩石ではなく、岩に彫られた仏像であるため一般的には岩石信仰も存在しない。ただし、イワクラに摩崖仏が彫られる場合があり、仏教がイワクラを再利用している場合は広義のイワクラとする。

●伝承岩石(非イワクラ):伝承や伝説、民話に登場する岩石で岩石自体は信仰されていない場合。「明石」の地名説話となった赤石とか、武将や聖人が腰をかけた腰掛石など。

●奇岩(非イワクラ):美的に形を愛でて観光に利用している岩石で信仰されていない岩石。

●自然岩石(非イワクラ):信仰も伝承もない自然に存在する岩石。

●宮跡・城跡(非イワクラ):弥生時代以降の宮殿跡や寺院跡、神社跡、城跡などの施設の岩石遺構は、イワクラとは扱わない。

●石造実用設備(非イワクラ):弥生時代以降の実用的な施設の岩石遺構は、イワクラとは扱わない。例えば明日香村の水道や噴水などの石造物は斉明天皇の時代(古墳時代)と推測されるためイワクラとは扱わない。

●石造芸術作品(非イワクラ):弥生時代以降の岩石を材料とした芸術作品は、イワクラとは扱わない。例えば、明日香村の猿石や二面石などの芸術作品はイワクラとは扱わない。当然ながら近年のアート作品もイワクラとは扱わない。 


信仰状況

神社に祭祀されている。

寺院に祭祀されている。

民間に祭祀されている。

祭祀されていないが過去に信仰の形跡あり。

信仰の形跡なし。

※信仰の状況については明確でないものが多く、推測しているものがあります。


□岩石の形状

岩石の大きさ

  石: 1メートル以下の岩石

  岩: 1~3メートルの岩石

  巨岩:3メートル以上の岩石

岩石の構成

  石単体、岩単体、巨岩単体:概ね岩石一つで構成されている。※岩石単体の中で、地面や山と一体化している大きなものは岩盤とする。

  双石、双岩、双巨岩:概ね岩石二つで構成されている。

  石群、岩群、巨岩群:概ね岩石三つ以上で構成されている。

  石組、岩組、巨岩組:複数の岩石が組み合わさって構成されている。※岩石組の中で部屋を形成しているものは岩屋とする。

●岩石の形状

  メンヒル(menhir)、立石:長辺が高さ方向に直立している岩石。

  ドルメン(dolmen)、支石墓:数個の支石の上に天井石を乗せたもの。

  ツムルス(Tumulus):天井石を2枚以上乗せたもの、原始石槨。

  ケールン(Cairn): 小石を積んだもの、石積塚。

  アリニュマン(alignement)、列石:岩石を線状に並べたもの。

  ストーン・サークル(stone circle)、環状列石:岩石を環状に並べたもの。

  ※以上は、鳥居龍蔵が用いた用法による。

  その他の形状表現

  横石:岩石の長辺が横の方向。

  平石:高さの平らな石、横長で安定した石。

  伏石:お椀を伏せたような岩石、横に寝かせた石。

  斜石:斜めに立っている岩石。

  敷石:地面に平たく敷き詰められた数個の岩石群。


住所

岩石は住所のない場所にあることが多いため、番地を含まない大まかな住所を記載しています。

場所を特定するには、緯度経度データを使用してください。


緯度経度

 

世界測地系WGS84、DMS形式(60進表記)で記載しています。例) 34°40'48.2"N 135°58'32.8"E 

この数値をgoogleマップなどに入力すれば場所が表示されます。

イワクラペディアでは、googleマップ上に場所を表示させています。

 


訪問時の注意

紹介した対象の岩石への立ち入りが制限されていたり、対象の岩石が私有地にあったりする場合は明記するようにしています。その場合は、立ち入り禁止の私有地の中に入らないようにお願いいたします。私有地の中に無断で立ち入ると軽犯罪法違反となります。

また、写真撮影が禁止されている場合も明記するようにしていますが、過去には制限がなく、近年に写真撮影が禁止された場合、このサイトに掲載するかどうかは思案しています。